【院試解答】平成26年度 東工大理学院物理学系 午前第2問

問題はこちら

[A]

(1)

 こちらの記事で詳しく計算しています(回転座標系)。

 運動方程式は

$$\begin{align} m\begin{pmatrix} \ddot{x}’\\ \ddot{y}’\\ \ddot{z}’\end{pmatrix} = \begin{pmatrix} F_x’ + m\dot{\theta}^2x’ + 2m\dot{\theta}\dot{y}’\\ F_y’ + m\dot{\theta}^2y’ – 2m\dot{\theta}\dot{x}’\\ F_z’\end{pmatrix}\end{align}$$

$$m\ddot{{\bf r}’} = {\bf F}’ + m\omega^2 {\bf r}-2m\omega {\bf e}_z \times {\bf v}’\tag{1}$$

と書ける(証明は別記事)。ここで\({\bf r} = (x’,y’,0)\)は回転軸からの距離と方向のベクトルであり、\({\bf e}_z = (0,0,1)\)は回転軸の方向の単位ベクトルである。これらを用いると、

$$m\omega^2 {\bf r} = (m\omega^2 x’ , m\omega^2 y’,0)$$

$$-2m\omega {\bf e}_z \times {\bf v}’ = (2m\omega \dot{y}’ , -2m\omega \dot{x}’,0)$$

となる。式(1)の右辺第2項は遠心力で\(z’\)軸から遠ざかる向きに働く。右辺第2項はコリオリ力であり、\({\bf F}_C = -2m\omega {\bf e}_z \times {\bf v}’\)として

$${\bf F}_C\cdot {\bf v}’ = 0$$

が成り立つので、速度と垂直な向きに働く。

(2)

 \(\phi\)傾いた地点での角速度は\(\omega\sin \phi\)と書けるので(緯度なので、軸からの傾きは\(\frac{\pi}{2}-\phi\)であることに注意)、コリオリ力の\(x,y\)成分はそれぞれ

$${\bf F}_C = (2m\omega\sin \phi \dot{y}’ , -2m\omega \sin \phi\dot{x}’)$$

となる。

 質点の質量が1kg のとき、緯度60° における遠⼼⼒の大きさを計算する。まず、地球の円周\(4.0\times 10^7[{\rm m}]\)より、緯度60°地点から回転軸からの距離\(r\)は

$$r = \frac{4.0\times 10^7}{2\pi} \times\cos 60^{\circ} = \frac{1.0\times 10^7}{\pi}[{\rm m}]$$

である。また、角速度\(\omega\)は

$$\omega = \frac{2\pi}{24 \times 60 \times 60} = \frac{2\pi}{8.64 \times 10^4}[{\rm rad/s}]$$

である。よって遠心力は

$$\begin{align}m\omega^2 {r} &= 1 \times \left( \frac{2\pi}{8.64 \times 10^4}\right)^2 \times \frac{1.0\times 10^7}{\pi}\\ &\simeq 1.7 \times 10^{-2}[{\rm N}]\end{align}$$

[B]

(3)

 垂直抗力\({\bf N}\)とする。\(x=x_1\)で止まっているので、\(S’\)系から見た運動方程式は

$$\begin{align} m\begin{pmatrix} 0\\ 0\\ 0\end{pmatrix} = \begin{pmatrix} N_x + m\omega^2x’ + 2m\omega\dot{y}’\\ m\omega^2y’ \\ -mg +N_z\end{pmatrix}\end{align}$$

となり、ここから

$$\begin{align}N_x &= -m\omega^2x’ \\ N_z &= mg\\  y’ &= 0\end{align}$$

が得られる。垂直抗力は放物線に垂直な方向に働くので、\((-2Ax_1,1)\)方向に働く。よって

$$\frac{-2Ax_1}{1} = \frac{N_x}{N_z} = -\frac{-\omega^2 x_1}{g}$$

が成り立てば良い。従ってつりあいの条件は

$$\omega^2 = 2Ag$$

(4)

 微小変位するときの運動方程式は、

$$\begin{align} m\begin{pmatrix} \ddot{x}’\\ \ddot{y}’\\ \ddot{z}’\end{pmatrix} = \begin{pmatrix} N_x + m\omega^2x’ + 2m\omega\dot{y}’\\ m\omega^2y’ – 2m\omega\dot{x}’\\-mg +N_z\end{pmatrix}\end{align}$$

である。ここで、最下点\(x=0\)で微小変位するので、\(z\)方向の変位を無視すると

$$N_z = mg$$

となる。また、\(y\)方向の運動も無視すると、\(x\)方向の運動方程式は

$$\begin{align} m\ddot{x}’ &= N_x + m\omega^2x’ \\ &\simeq -2Ax’ N_z+ m\omega^2x’\\ &= -m(2Ag-\omega^2)x’\end{align}$$

となる。よって、\(2Ag-\omega^2 >0\)ならば単振動を行い(安定)、\(2Ag-\omega^2 <0\)ならば質点は原点から離れる向きに⼒を受け、原点から遠ざかっていく(不安定)。

(5)

 安定のとき\(2Ag-\omega^2 >0\)であるので

$$\ddot{x}’= -(2Ag-\omega^2)x’$$

から角振動数\(\Omega\)は

$$\Omega = \sqrt{2Ag-\omega^2}$$

である。従って、単振動の周期\(T\)は

$$T = \frac{2\pi}{\Omega}= \frac{2\pi}{\sqrt{2Ag-\omega^2}}$$

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